こんにちは、以前、キャリアデザインのためにはまず自分の強み(得意分野)をみつけようというお話をしました。
本日はサラリーマンが持つ強みの一つである住宅ローンと属性についてお話しします。
☆ 住宅ローンはサラリーマン最強
☆ 属性(社会的)とは
☆ アメリカの属性・信用度審査
☆ 日本の住宅ローンは属性重視
☆ 海外の住宅ローンは物件重視
☆ 住宅ローンはサラリーマン最強
最近サラリーマンのことを「社畜」や「奴隷」、「懲役40年」と表現しているのをよくみかけます。驚くとともに、言いえて妙だとも感じます。
「社畜」や「懲役40年」はちょっとすごい自虐だなと思いますが、「奴隷」については、ローマ時代の人権が認められていた「奴隷」に事実似ています。(人権無視で酷使されていた中世-近世の一般的な奴隷とは少し異なります)
古代ローマには、専門職奴隷(医師・教師・会計士等)や家庭内奴隷(貴族の邸宅内での執事・家庭教師・料理人・秘書等)が社会の仕事を多く担っており、彼らは決められた労働時間外は飲食・飲酒、旅行、結婚などすべて自由でした。
ほぼ現代の全世界のサラリーマンと同じ状況のような気もするのですが…
いきなり断線しました。
さて、社畜なんて言わずに聞いてください。サラリーマンにはたいへんな強みがあります。
それは、住宅ローンを借りるのは断然サラリーマンのほうが有利だという強みです。
年収1000万円プラス経費を年500万自由に使える起業3年程度の自営業者よりも、
年収が300万円の有名国内企業・勤続3年のサラリーマンのほうが、住宅ローンは通りやすいのです。
ですから、フリーランスを目指している方で住宅購入を検討しているサラリーマンの方は、
独立する前に住宅ローンを組むことをお勧めします。
☆ 属性(社会的)とは
高年収の自営業者と一般サラリーマンの住宅ローンについて、なぜ、上記のような結果になるのでしょうか。
それは、住宅ローンやクレジットカードなどの審査に、あなたの「属性」が大きく関係するからです。
属性とは、かなり幅広い意味を持ちますが、本日おはなししているのは社会的属性です。
これは、具体的には下記のような内容です。
● 社会的地位(一般会社員、会社役員、経営者、自営業者、派遣社員、フリーランス、アルバイト職員、無職など)
● 年収
● 年齢
● 家族構成(既婚・独身・子供)
● 勤務先
● 勤続年数
● 健康保険の種類
● 固定電話の有無
ほかにも細かい内容はいろいろありますが、およそこのような項目を社会的属性と考え、銀行側は住宅ローンの審査をしています。
みなさんもご存知の通りで、この場合は、ローンを完済できる「返済能力」が問われるため、
ある程度の勤続年数があり、倒産の懸念が低い企業に勤めている会社員が最も高く評価されます。
これに、配偶者(奥様)も正社員として働いているダブルインカムの家庭や、勤務先が東証上場企業、勤続5年以上の20代、などの要素があれば、それぞれより信用度を高める因子となります。
一度、ご自分の属性を客観的に見てみるとよいと思います。
☆ アメリカの属性・信用度審査
この属性による信用調査のシステムをつくったのはアメリカです。
アメリカはまだ若い国で移民も多く、それでいて金融活動がたいへん活発な国ですので、
ローンやクレジットカードの審査基準はとても重要な要素です。
ヨーロッパや日本のように先祖代々の家系とか、地元に歴代住む名士、創業100年の老舗などというものが極端にすくなく、世界中からやってきた移民があふれている国ですから、
特にこういったシステムが重要でした。
現在の日本の信用審査もアメリカのシステムが導入されたものです。
ただし、2008年のリーマンショック後はやや変化が起きています。
属性の条件がよく、返済能力が高い人を「プライム層」と呼び、
若干属性に不安要素があるものの、健康に働いている人を「サブ・プライム層」と呼びます。
リーマンショックとは、この「サブ・プライム層」に、信用度合以上のローンを貸し付け、それが焦げ付いたことから派生した金融危機でした。
日本人は2008年夏に突然おこった印象があるかもしれませんが、
実は「サブ・プライム層」へのローンの危険性や、これを含んだ債権や投資信託は暴落する恐れがある可能性はその1年以上前から一部で知られていました。
私は偶然、2007年の楽天証券主催セミナーでホリコインベストメントの堀子氏がこのことを話しているのを聞き、急いで投信と米国株を全部売却し暴落から逃げることができています。
ただし、日本株は影響が少ないだろうと思って保有したままで、1年後のリーマンショックでは派手にやられましたが(´・ω・`)
ということで、サブプライム層への審査の甘さと過剰な住宅ローンで経済破たんした経験から、アメリカではこれらの基準はかなり見直しが続いています。
☆ 日本の住宅ローンは属性重視
日本はまだ従来のとおり、属性を重視したローン審査を続けています。
ですので、若くて年収が低くてもローンを組める確率は高いです。
反対に、中高年で自営業者だと難しくなります。
そもそも、45歳が35年ローンを組んだら完済時80歳です(実際にはこのようなローンは通りません)。無理ですね。
ただ、すでに不動産を持っている場合もあるので、頭金多めで、それを担保に20年未満のローンを組むこともあります。
最近は東証上場の大企業でも、急激に倒産の危機に陥る会社が複数ありますし、昔のように終身雇用という概念がありませんから、これらの属性に頼るのはいかがなものかとは思います。
日本ではサブプライムローンの教訓は生かされているのでしょうか。
仮想通貨もでてきていますし、いずれ米国のようにローンの審査基準がかわってくる可能性もありますね。
☆ 海外の住宅ローンは物件重視
日本の住宅ローン審査は、属性重視。
では、海外ではどうなのでしょうか。
先ほどアメリカの例をお話ししましたが、欧州やオセアニアでは、本人の属性プラス、そのローンで購入する物件価値も調べます。
日本では住宅の売買はほぼ99%民間の不動産業者が行います。
が、みなさん不動産買うのって難しいと思いませんか? 不当に高い値段だったらどうしようとか、どうやって値切るんだろう、とか。
本当にそんな価値があるんだろうか、欠陥住宅ではないのか、地盤に問題がある土地ではないだろうか、とか。
もしローンが完済できなければ銀行は物件を差し押さえて競売にかけます。
その時にある程度の金額にならなければ銀行は困りますね。地盤沈下の土地だと二束三文でかなり困ります。
欧州やオセアニアでは、民間不動産業者からの不動産購入の際には、銀行が「不動産鑑定士」を派遣して物件を調査することが非常に多いです。
もしくは、不動産業者側が「鑑定済み」の証明を出してくれる場合もあります。
そして、これが日本と大きくちがうのですが、
欧米やオセアニアには、実は政府が100%株主の不動産を扱う組織がいくつか存在します。
これらの組織では不動産の価格が適正で、逆にその地域の相場の目安となる場合が多いのです。
政府の組織というと、天下りなどが多い実力のない団体と思う方もいるかもしれませんが、フランスのSAFERやニュージーランドのHousing NZなどは、非常に有益で秀逸な活動を行っています。
こういった政府100%出資の組織や特殊法人から買う不動産は、出自がきっちりしているものが圧倒的に多く、銀行もローンをつけやすいというメリットがあります。
ちなみに、これらの組織は様々な目的で作られています。
たとえばNZ政府出資のHousing New Zealand。主に身体障害者やシングルマザーなどの社会的弱者を住まわせる住宅をHNZが不動産業者や不動産投資家と共に準備し、供給するというものです。
居住者の状況によって政府が家賃を20~100%補助するしくみです。
農業大国フランスのSAFERは歴史的に農地を中心に扱ってきました。
外国人が不当に農地を買いあさることを制限したり、農地を勝手に住宅地として売らないようにする目的が強いのですが、現在は一般住宅も扱っています。
と、このようなところから買う不動産には物件に対して買い手も銀行も安心感が違うというのが本音のようです。
日本は今後空き家問題や、オリンピック後の地価下落が予想されていますので首都圏で住宅を購入する方はこれから2~3年は少ないかもしれませんね。
でも、これから人口が増えそうな 政令指定都市の中心地物件であれば有望だと思います。
今回は住宅ローンを例にとってお話ししましたが、あなたが社会とかかわるとき、「属性」で判断される場面は多々あります。
ぜひ一度、ご自分の属性について考えてみてはいかがでしょうか。
弟妹達へ、社会はあなたたちを属性でみていることもあります。現状の客観的な評価も意識して、未来のキャリアデザインにつなげましょう。
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