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今日はフランスのバカンス&労働事情について書こうと思います。
☆ 純ジャパ筆者からみた第一印象
☆ 休暇はぜんぶで5週間
☆ お金はどうするの?旅費は?
☆ 経営者側からみると…
☆ 日本の働き方
☆ 純ジャパ筆者からみた第一印象
筆者は20代の頃フランスに数年住んで働いておりました。
現地では大企業、中小企業、個人商店での職務を一通り経験し、帰国後もずっと欧州との貿易を続けていますのである程度彼らの労働事情を理解しているつもりです。
渡仏前から「フランス人はあまり働かない」と聞いてはいましたが、
実際に一緒に働いた印象はまさにその通り「この人たちホントに働かない…(-_-;)」 でした。
良く言えば、自分の人生の中心はプライベート(家族、恋人、趣味、生きがい)にある。働くのはあくまで生活の糧を得るため。
悪く言えば、従業員の権利が非常に強くて解雇されることが稀なため、多少さぼっていてもクビにならにとタカをくくっている。
いずれにせよ、定時にはサササーーッと帰ってしまいます。
仕事が途中でも帰ってしまいます。
締め切りを過ぎていても帰ってしまいます。
窓口にお客様がまだ並んでいても閉めて帰ってしまいます。
もっとおそろしいのは、仕事が途中のまま3週間のバカンスへ出かけて本当に3週間連絡がとれず、商品がブロックされたまま、ということも起こります。
怖いですね。
責任は会社にあって、個人が負うものではないという考え方ですね。
彼らは「それは私の仕事ではない」という表現を頻繁に使います。
日本の企業様は怒って文句をおっしゃるのですが、フランス側は「バカンス時期ですから」という回答で謝罪はありません。
バカンスなので仕事が止まるのは普通のこと、という認識です。
私、若いころはこのあたりのギャップでずいぶん泣かされました…。
これに対して、経営者、中小企業の社長、家族産業(商店や農家、レストラン、民宿等)は、非常にまじめに働いていますし、労働時間も長いです。
が、バカンスはしっかり2-3週間完全休業です。
中には夏の稼ぎ時に休みなく働いて、オフシーズンの冬に3か月お休みをとるケースもあります。
日本社会から見ると、ちょっと考えられないですよね。
このあたり、労働基準の違いが大きく影響しているのですが、それはまた別の機会に書きたいと思います。
☆ 休暇はぜんぶで5週間
フランス人は本当にバカンス3週間もとっているのか⁉
皆さん半信半疑かもしれませんが、これ、本当です。
厳密に言うと、ほとんどの労働者に年間5週間の有給休暇の権利が与えられています。
この休暇を与えないと、雇用主側が罰せられます。
日本でもたいていは年間20日の有給休暇がありますから、平日5日として4週間権利はあるんですよね。
ですが、非常に消化しにくい雰囲気が社会全体にあるような気がします。
さて、フランスでは5週間のお休みの時期は
まず春の復活祭(イースター)に1週間、
夏休みに3週間(いわゆるバカンス)、
クリスマスに1週間、です。
イースターやクリスマスは、日本のお盆やお正月のようなもので、旅行に行くというよりも実家に一族が大集合します。
おばあちゃまの手料理を目当てに、孫たちが都会から戻ってくる、大家族で食卓を囲みご馳走を食べる、というのが定番。
フランスは農業大国ですので、親戚に必ず田舎の農家がいる、という感じです。
そして、夏のバカンスは3週間もあり、たいてい旅行を楽しみます。
それぞれの経済事情で違いますが、予算がある場合は海外旅行が一番人気。
海外ビーチはみんなのあこがれ。
フランスでは日焼けしていることを「ブロンゼ」といいますが、
これはバカンスで南国のビーチにいくことが可能な富の象徴・ステイタスでもあります。
最近は皮膚がんやシミの問題でちょっとブロンゼしているマダムが減りましたが。
あと、欧州なら車で陸路移動ができますから、南仏、スペイン、イタリアも人気です。
キャンピングカーやテントを張って、激安家族旅行を楽しんでいる人もたくさんいます。
仕事から解放されて家族や友達と遊ぶ、スポーツする、食べる、飲む、何もしないでボーっとする。
彼らにはそんな3週間があるわけです。
戻ってきても、職場の人は誰も怒ってないし、あなたの仕事もちゃんとあって問題なく復帰できます。
それどころか、皆ストレス発散&リフレッシュしてきて、職場の雰囲気もなごやか。
ちょっとうらやましいですね。
☆ お金はどうするの?旅費は?
3週間も旅行となると、ふつうの人はお金のことが心配になると思います。
特に交通費や宿泊費は高いですから。
まずこれらは有給休暇ですから、毎月の給与は通常通り支払われます。
それに加えて、バカンス前の6月あたりに1か月分の給与が余分に払われる企業が多いです。
フランスには夏・冬のボーナスはありません。
この夏の1か月分がボーナスのような位置づけになるのかもしれませんね。
この1か月分で色々とやりくりをするわけですが、決して高額ではありません。
ですから、平均的なサラリーマンは長距離の海外旅行は3-4年に1回程度です。
結婚記念の節目の年や、お祝いなどのタイミングを考えて、資金を準備しているようです。
通常の年は、車でヨーロッパ内を目的地まで移動します。
宿泊はホテルや、週貸しのコンドミニアムなどがポピュラー。
他にも、キャンピングカーで寝泊まりしたり、テントをはるなど、徹底して節約するケースも多いです。実際、欧州にはキャンプ場がたくさんあります。
そして、民泊や、家の交換。
日本でも最近ようやく民泊という概念が一般的になりましたが、
フランスでは昔から民泊させたり、自分の家を交換したり、シェアしたりすることがごく普通に行われます。
友達や同僚、親戚同士で家を無料で交換しあったりして、宿泊料を節約しているケースが非常に多いです。
土地が広い田舎の一軒家は、たいていゲストルームが1-2部屋あります。
もしくは子供が巣立ったあとの部屋をゲストルームに仕立てている場合も。
みんなが3週間海外旅行をしているわけではないんですね。
できるだけお金をかけずに、楽しんでいる人たちがたくさんいます。いいことですね!
☆ 経営者側からみると…
ほとんどの労働者がバカンスをとりますが、中には「今は恋人もいないし旅行にいくあてもない。働きたい!」と思う人も当然いますよね。
その場合、本来バカンスで休養をとるべき時期に従業員が働くということで、
雇用主はこの期間の労働に対して数%うわのせした給料を払う義務があります。
確か、第三次産業(サービス業など)で18%くらいだったと思います。間違えているかもしれません、後日調べます。
日本だと、割増給料を狙って、みんな働きそうですね…。
私は日本で小さな会社を経営していますが、フランスでは絶対に起業したくないなぁ、と心底思います。
フランスでは労働者側の権利が非常に強固に守られていて、雇用主にとっては厳しい条件が多くあります。
3か月の試用期間が終わって雇用契約を結ぶと、よっぽどのことがない限りクビにできません。
履歴書に多少うそがあり、仕事が全然できなくても、労働者側の権利が強いです。
日本では過労死が大きな問題で、私も特に若い方の過労死を何とかしたいと思っていますが、
フランスでも中小企業の社長が時々過労死に至るケースがまれにあります。
やはり企業として仕事に責任がありますから、終わらない仕事のしわ寄せは管理職や社長にきてしまいます。解雇した場合も労働者有利の訴訟になるケースも多いですし。
社長はツライよ、と皆よく言ってます。
☆ 日本の働き方
さて、こういうバカンスが浸透しているフランス、どう思いますか?
私は日本人ってとても優秀ですばらしい人材の宝庫だと確信しています。
個人が自分の仕事にきちんと責任をもち、何事にも丁寧に真面目に取り組んでくれる人が圧倒的に多い。
そして、仕事が合理的で早く、丁寧です。
それはやはり、「和を以て貴しとなす」の哲学に見られるように
迷惑をかけない、和を乱さない、という教育が根底にあるからでしょう。
帰国して、再び日本で働き始めたときに「ここは天国か!」と思いました。
皆、期日通りに締め切りを守ってくれるし、頼んだ仕事もちゃんと終わらせてくれる。
サボらない。正直。手伝ってくれる。遅刻しない。
日本てスゴイな~と感動したことを覚えています。
ですから、新入社員やまだ若い方でキャリアの焦りがある方も、あまり心配しなくていいですよ。
世界レベルからいえば、日本人のお仕事ぶりは非常に高レベルです。
自信をもってください。
ただ、日本人はお仕事がしっかりできるのに、今、社会全体が疲弊して閉塞感があふれています。
イライラしている人、気持ちや時間に余裕がない人が増えて、それが弱者にあたっているような気がする。
難しいとは思いますけど、日本も2週間、完全に仕事から離れられて余暇を楽しめるような社会にできないでしょうか?
家族とすごす、子供とすごす、「あぁ、俺はこの家族のために頑張って仕事してるんだなぁ」と一家の大黒柱が実感できるような、楽しい2週間があってもよいと思うのです。
無理やりプレミアムフライデーとかシルバーウィーク等の休みを作っても、社会全体の雰囲気が変わらなければ、休暇はとりづらいままです。
日本人のすばらしい仕事ぶりはそのままで、もうちょっと休める社会にしたいですね。
ご購読ありがとうございました。
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