書評:『さよならインターネット』 家入一真著  

書評

ブログご訪問ありがとうございます。

本日は書評を兼ねてインターネットの未来について感じたことをお話します。

家入一真さん『さよならインターネット』を拝読しました。

さよならインターネット まもなく消えるその「輪郭」について (中公新書ラクレ) [ 家入一真 ]

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家入一真さんとは、どんな方?

いえいりかずま、さんをご存知でしょうか。

私が彼の名前を聞いたのは2014年東京都知事選の時でした。

インターネットを選挙に組み入れている点や、若い方に急速に支持を伸ばしたことが気になって、当時政治理念などを調べたことがあります。

でも長髪とヒゲで都知事候補者としての第一印象はあまりよくありませんでした。

が、実はそれ以前にお世話になっていたようで。

といっても直接ではありません、もちろん。

レンタルサーバーのロリポップを利用しているのですが、これは家入さんが開始したサービスだったのです。

簡単に家入一真さんの略歴を。

1978年福岡生まれ。

学生時代ひきこもりになり、自宅でずっとインターネットの世界にのめりこむように。

ただし当時はWIFIも光回線もなく、電話と同じように接続時間分課金される制度のため、現在とは少し状況が異なるネット環境。

そんな中で様々なプログラミングや技術を体得し、

「誰にも会わずに仕事したい」という思いから起業。

レンタルサーバーサービスの「ロリポップ」を開始、

のちに(株)ペパボを創始し、ジャスダック上場、会社売却。

飲食業やネット起業など様々な経験を経て、

「CAMPFIRE」(クラウドファンディング)や、

シェアハウス「リバ邸」を立ち上げ。

2014年東京都知事選挙に出馬。

早くからインターネットの可能性に気づき、好きなことを仕事にして成功した方です。

そして、インターネットがまだワクワクする大海原、大草原に見えたころにネットを楽しんでいたのだと思います。

若い方は生まれたときからネットがあるでしょうが、

1980年代はまだ家庭にパソコンはなく、士業でもワープロを使っていました。

90年代でもネットに接続するのは電話回線からで、常時接続などありえない、

高額な電話代請求が来ないように毎回必ず回線を切って、コンピューターの電源を落とすという作業が必須でした。

家入さんの本を読んで、なんだか懐かしく当時を思い出しました。

自由な空間から限定サロンへ

インターネット上では、当初情報はタダ、Wikipediaでなんでも調べられるし、

ググればほとんどのことが解決する。

音質を気にしなければ、CDを買わなくてもYou tubeでは音楽を聴ける。 

こんな風に情報を無料で享受することに慣れてしまった我々ですが、

少しずつかわり始めています。

Noteや電子書籍で気軽に低価格で情報を販売できるようになりましたし、

appleのような音楽ダウンロードシステムもしっかり根付きました。

今後はブロックチェーンなどを利用して、 ますます正しい情報の有料化と著作権料の設定が確実になっていくと思います。

そして、人々も無限に広がる自由でカオスな空間に漂うのではなく、

クローズド(非公開)のグループを作ったり、オンラインサロンを作って発言・活動するなど、

ネット上に、他と区別して囲まれたコミュニティを作ろうとする傾向が出てきました。

「SNS疲れ」なんていう表現がありますが、

ネットの利便性は活用したい、でもいわれなき攻撃をうけて疲弊したくない、という考えを持つ人には

これはごく自然な流れなのかもしれません。

匿名の弊害:過度の攻撃

家入さんは、私のような凡人が思いもつかないようなすごいアイディアをいろいろ現実化させています。

特にCAMPFIREというクラウドファンディング・サービスやPolcaという少額の支援サービスは、先日私も利用しました。

これこそ起業家、実業家なのだろうな~と、素直に感心します。

確かに社会に貢献している面白いサービスもあるのですが、なかなか真意がうまく伝わらずに、ネット上で攻撃をうけて終了したサービスもあったそうです。

今、ネット上で一番心配なのが、匿名であることでタガが外れたように非常識かつ無責任な攻撃をする人たちの存在です。

それぞれの主張したいことを理解できる場合もありますが、それでも実名であれば絶対使わないような表現で過度の攻撃をしている人が多くないですか?

中には個人情報が特定されて、会社を辞める羽目になるようなケースもあるようで。

匿名であれば、普段の自分とは違う人格となって自由に発言できるという思いは誰にでもあると思います。

けれど、書くということ、発言するということには責任が伴うはず。

その意識があまりにも薄いことに少し驚きます。

これはモラルを持て、などという説教で何とかできるものでもなく、自分のほうで関わり方をコントロールするしかないのかな、という気がしています。

このブログも、いつどこで誰かの気持ちを傷つけ、それが攻撃になるかわかりません。

常に配慮し、自分が書いたものに責任を持つという姿勢を心がけていますが、少し不安でもあります。


私のスタンス

私はSNSはあまり好きではありません。

単に、世代的な問題で慣れていないというのも理由の一つでしょう。

FBも基本情報や投稿はお友達限定公開ですしあまり更新していません。

ただ、FBはページを追加して、このブログ記事を公開していますし、

オンラインサロンの非公開グループでの活動にはよく使っています。

広告とか、素早い情報のやり取りとか、本業と関わるイベントの打ち合わせとかに、FBグループが便利なので使っていますが

使うときにはやはりかなり気を使います。

やり取りしている相手が数人でも、実はサロンの全員がそれを見ているわけで、目に見えない傍観者の存在も意識したうえで発言するようにしています。対面で営業するより気を使うことがあります…。

家入さんも書いていますが、これからは「いい人ポイント」というような感じで、人の価値がポイントで決まるような形が現れそうです。

すでに10代の若者は「欲しいもの=フォロワー数」というような発想をしていますし、

中国では社会信用スコアがすでに実用化されています(人格ではなく属性の信用です)。

これを意識したとき、私はどんな風にネットやSNS、ブログと関わっていけばいいのでしょう? ちょっと考えさせられます。

未来

 インターネットの初期の状態からこの世界をよく理解して体験してきた家入さんは、

この本の中で、インターネットは輪郭をなくしてしまい、2003年ごろの「Web2.0」を機に決壊が始まったと話しています。

そして、インターネットの輪郭を取り戻せるのかどうか、それはどういう意味か、その必要についても考察しておられます。

輪郭を取り戻す、という表現のなかに実に様々な意味が込められており、

ぜひ本書を一読してみなさんなりの理解をしていただきたいです。

最後は特にこれからのインターネットとのかかわり方について一度じっくり考えてみたい、と思うような内容で締めくくられていました。

私が結論をまとめてしまうよりも、皆さんご自身で読んで感じていただきたいです。

時々ブログでも書いていますが、

私はここ数年で両親の不安のない老後をサポートし、

自分の新たなライフスタイルも確立したいと望んでいます。

現在の仕事はベテランとなり安定しましたので、

新しいことを色々と始めているのですが、

その中のいくつかは自分がおばあちゃんになっても続けられるアクティビティであってほしい。そのためにもインターネットとの関わり方はカギになるはずです。

インターネットとともに様々な体験をしてきた家入さんのビジョンを知ることで、あなたのネットのかかわり方への指針となるかもしれません。

ご興味のある方はぜひご一読ください。

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