ここまで営業の4ステップについてお話ししてきました。
【営業の4ステップ】
① 仕込み :顧客に会う前の準備をする
② 営業当日 :実際にお客様に会って営業する
③ クロージング :発注を確定する
④ フォロー :集金、アフターケア、満足度を確認する
この4段階を何度も繰り返していく、それが営業活動になります。
ただ、これはすでに顧客がいる企業の新人営業としてまわる方に対して書きました。
本日は少し別の視点から、効果的な営業についてお話しします。
効果的な営業のための5W
When 最適なタイミング
Where 需要の見込める場所、マーケット
Who 必要としているお客様
What 適切な商品
Why お客様が商品を買う理由
When 最適なタイミング
商品は効果的なタイミングで売れていきます。
例えばファミレスでコーヒーのおかわりサービスがありますよね。
ウェイトレスさんは、ポットをもって「コーヒーのおかわりはいかがですか?」とたずねて回ります。
皆が「ありがとう、お願いします」という中で「いらない」というお客様がいたとしましょう。
ウェイトレスさんは、この否定にショックをうけて悲しみますか?いや、別に気にしないですよね。彼女は「今はいらない」ということを理解しているからです。「永遠に絶対いらない」と言われたわけではないということです。
このお客様はコーヒーが好きだからオーダーしました。十分味わって、これ以上おかわりがいらないから断っただけです。
お客様はもう数時間後、もしくは明日の朝にまたコーヒーが飲みたくなるはずです。
人間には、必要だったり好きだったりしても、その商品が「いるとき」と「いらないとき」があります。これがタイミング。
「ほしいな」と思っているタイミングで商品を提案すれば、よりスムーズに商談がすすむのはおわかりですね。
営業先で断られて落ち込むことってありませんか?
もしかしたらお客様は月末月初や棚卸でお忙しかったのかもしれません。
ちょうどその商品を補充したばかりだったのかもしれません。
タイミングが悪かったのであれば、ちょっと調べて次回は提案の時期を工夫しましょう。
お客様のタイミング、ぜひ考えてみましょう。
Where 需要の見込める場所、マーケット
商品は、必要とされているマーケットで販売すべきです。
真夏のアジアで、ダウンジャケットを販売するのは一般的には難しいですね(そういう商法もありますが、ここでは一般論で話しますね)。
こんなエピソードがあります。
とある国の2社の靴メーカーが海外の僻地にそれぞれ営業マンを送り込みました。
A社の営業マン:「社長、ここでは誰も靴を履いてません。みんな裸足です。靴をはく習慣がありませんから、靴は売れません。」
B社の営業マン:「社長、すごいです!まだ誰も靴を履いてません。これから買ってくれる人がいっぱいいますよ!じゃんじゃん生産してください。」
この発想の違いをどう思いますか?
B社営業マンは、マーケットを育てていくヴィジョンも持っていますね。
その商品がまだ伸びる可能性がある市場というのは魅力的です。
すでに大型スーパーマーケットが数軒ある地域で、小さな八百屋を新規開業するのはこの原理からは外れます。
どういったマーケットにあなたの商品を営業に行くべきか、よく分析してみてください。
ただ、面白いもので、同業が集まる場所というのは強い市場ができあがります。
例えば古本屋がたくさん集まっている地域。古本好きは迷わず神保町(東京都にある古本屋が密集する地区)へ行きますね。そうすると神保町は古本の市場として非常に強い場所、ということになります。
某国道沿いにラーメン店が密集しているのも、同じ原理が働きます。ラーメンを食べたい人がその場所へどんどん集まってきます。
商売をする場所、マーケットは大切ですね。
Who 必要としているお客様
この商品を必要としているお客様はだれか? 色々な視点で考えてみましょう。
例えばこんなエピソードがあります。
ある事情で営業マンCさんは急いで電球を300個売りさばかなくてはいけなくなりました。値段はごく普通に流通している価格で、大幅値引きはできません。
単価が安い商品ですが、数量が多すぎます。
皆さんならどうしますか?
やはり大量に使ってくれそうな事務所や、不動産物件管理の会社でしょうか?
でも、彼らは大量仕入れでなじみの業者から特別価格で購入できます。
値引きなしで売るのは難しそうです。
Cさんは独り暮らしのお年寄りがたくさん住む団地へ向かいました。
まず、一人の年配のご婦人に声をかけます。
「こんにちは。私は電球を販売しているものです。
1個150円ですが、その代わり私が古い電球と交換します。
高いところや、手の届かない場所で、切れている電球はありませんか?」
「まあ、交換してくれるなんて助かるわ。お風呂の電球がチカチカして切れそうなの。
息子は遠くに住んでるし、どうしようかと思っていたのよ」
このご婦人はとても満足して、早速Cさんの強力な助っ人に変身しました。
「同じ階のDさんも困ってるのよ。お願いしていいかしら。」
あとは口コミ、井戸端会議的に団地一帯に話が伝わっていきます。
ご高齢の方は、脚立にのぼって高所の電球を変えることが難しいですね。Cさんのちょっとした交換サービスはまさにピッタリです。
スーパーで買う値段とあまり変わらないのであれば、喜んでCさんから電球を買ってくれるのではないでしょうか。
営業をするとき、自分に与えられている材料をよく理解しましょう。
どのタイミングで、どのマーケットの、どんなお客様へ、何の商品を売るのか。
あなたの扱う商品を手にして、笑顔になってくれるのはどんな方ですか?
What 適切な商品
あなたが扱う商品はどれくらいあるでしょうか。
それらの商品は的確な対象に営業をかけるべきですね。
例えば、杖をついて歩くお年寄りにマウンテンバイクを営業するのは無理があります。
お孫さんへのプレゼント、など特殊事情がある場合は別ですが。
ニーズのある商品を吟味して提案しましょう。そのためには
営業の4つのステップでお話ししたように、お客様のニーズを理解することが大切ですね。
さて、以前、飛び込み営業の人が弊社へ来たことがあります。
その日は地元のお祭りを週末に控えた金曜日で、地区全体が準備に忙しい状況でした。いわゆる下町で、みんな祭り好き。
その人は証券会社の営業マンで、この状況の中、株や投資信託を販売しようとしていました。
そもそも、法人が飛び込みの営業マンから株を買いますかね?従業員の前でそんな話するのかな?
無理があるなぁと。
弊社以外の事務所、店舗、住人たちも、祭りの準備で皆いそがしく、まず話を聞く余裕がありません。
今の時代、ネットから少ない手数料でいくらでも株式売買ができるのに、
手数料が高い証券会社で買うのは、パソコンが使えない年配の方くらいです。
もしくは、相談しながら売買をする初心者?
確かに年配の方はある程度住んでいますが、下町は信用金庫さんがガッチリ囲い込んでいます。
この営業マンも、冷静に条件を考えてみれば、自分の労力が功を奏するかどうか想像できたでしょう。そういったことを考えず、上司から「○○エリアを回ってこい!」と指示されてそのまま淡々とまわっているんだろうな、と感じました
When:タイミングも悪いですし、Where:マーケットとしても微妙、Who:手あたり次第に法人・個人とわず訪問、What:金融商品のニーズが高い状況とは考えられません。
これが、同じ地区でも、例えばある法人の決算期を調べて、期末に利益がでていそうな会社に金融商品を提案する、というほうが良いのではないでしょうか。
Why お客様が商品を買う理由
最後にWhy なぜお客様はあなたが提案した商品を買ってくださったのでしょうか?
- その商品ブランドが好きだから
- もう何度もリピートしていて安心して使える商品だから
- 別に思い入れはないが、問題なく使用できているので単に同じ物を補充している
- 納期が早く、支払いサイトが長いから
お客様の購入理由は十人十色です。
でも、もし、
「信頼している営業さんが提案してくれたから」
「担当営業マンが好きだから」
と言ってもらえたら、嬉しいと思いませんか?
お客様から信頼され、気に入って頂けるというのは営業マン勲章のようなものかもしれません。
こんな理由で取引して頂けるように、お客様のためによりよい営業を研究してみませんか?
「今日のポイント」
When 最適なタイミングで、
Where 需要の見込める場所、マーケットで、
Who ニーズのあるお客様へ、
What 適切な商品を、ご提案しましょう。
Why お客様が商品を買う理由が、あなたへの信頼であれば本当に素敵です!
弟妹達の仕事が少しでも楽しくなりますように。
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