あなたのまわりには問題解決能力が高い人はいますか?
彼らが常に意識していることが2つあります。
まず「物事を俯瞰でみること」
そして「仕事全体の流れを把握すること」
下記目次にそって解説していきます。
- ☆ ビジネス実務はほとんど問題解決
- ☆ 問題解決能力が高い = 仕事ができる
- ☆ 「物事を俯瞰で見る」とは?
- ☆ 仕事全体の流れを把握する
- ☆ 具体例で説明してみると…
- ☆ 経験で感触をつかむ、たくさんの違う価値観に出会うことで磨かれる
- 「本日のポイント」
☆ ビジネス実務はほとんど問題解決
皆さんはお仕事をしていて、トラブルなく毎日決まったルーティンワークをこなすだけで無事におわっているでしょうか。
私は貿易業を生業としていますが、小さなことも含めればトラブルや問題は日常茶飯事です。
貿易ということは外国人相手ですから、日本の常識はほぼ通じません。
20代のころはどうしてよいかわからず、あまりのストレスで病気になり入院したことがありました。
40代になった今はほとんどの問題は解決できますし、問題が起こってもあまりストレスを感じません。
その問題を自分で解決できることがわかっているので、ストレスではないんです。
雨が降ってきたので傘をさす、という感じです。今は、雨が降りそうなので傘を持って出かけよう、というレベルになってます。
たまに暴風雨(大トラブル)や大雪(訴訟問題)に見舞われますが、基本無事です。
ほとんどのビジネスでは日々たくさんの問題が起こっているのではないでしょうか。
ビジネス実務に問題解決はつきものです。
企業はそれを克服して営利活動を展開し、利益をあげているのです。
皆さんも仕事をしていて問題、トラブル、悩みを経験していることと思います。
若いうちは初めての事象に対応することができなくて当然です。
ちょっとしたことでも苦しくて悩んでしまうこともあるでしょう。
ずっとその状態が解消できなくてストレスが相当たまっている人もいるかもしれません。
けれど、残念ながら社会へ出て働く以上、今後もトラブルや問題は常におこります。
ですから、早い段階でその解決能力をアップする方法を学んでおく事をおすすめします。
☆ 問題解決能力が高い = 仕事ができる
あなたの周りに問題解決能力が非常に高い人はいませんか?
上司や先輩の中に、ちょっとトラブルが起こっても、「大丈夫だ!」といって本当に解決してしまう人。もしくは大騒ぎもせずにいつのまにか問題を解決して淡々と仕事を続けている人。
もっと大きな枠でみれば、あなたの会社の社長さんも日々多くのトラブルと向き合っています。
ボンボン跡継ぎを除いて、たいていの社長さんは問題解決能力が高いです。
例えば複数の社員が回収してこなかった巨額の売掛金。社員の給料から引くわけにはいきません。最終的な責任を負うのは会社経営者ですから、新入社員の想像を超えた案件を常に抱えていることになります。
小さな枠で見れば、親戚やご近所・町内会に、皆が相談に行く長老みたいなオジサマがいませんでしたか? 子供の学校のことや、ちょっとしたご近所トラブルに対して的確なアドバイスとアプローチで解決してしまう。
こういう、問題解決能力が高い人っていますよね。
そして問題解決能力が高いのに仕事が全然できない人ってあまりいません…ね。
つまり、「問題解決能力が高い人」=「仕事ができる人」です。
なぜ彼らは問題が起こったときの処理能力が高く、時には自分に関係ないトラブルまであっさり解決できるのでしょうか?
彼らには何が見えているのでしょうか?
問題解決能力をあげる、それには常に二つのことを意識しながら経験を積んでいくことが不可欠です。
その二つとは「物事を俯瞰でみること」と「仕事全体の流れを把握すること」です。
☆ 「物事を俯瞰で見る」とは?
Wikipediaでは、俯瞰(ふかん)とは、高いところから見下ろすこと、全体を上から見ることと説明されています。
高いところから見下ろすというのは、上から目線で他人を卑下するということではありませんよ!念のため。
語源としては鳥が空から地上を眺めて見える状態のことで、その場合は「鳥瞰」と表記されます。
例えば、普通は富士山を地上から見上げるように眺めます。高さがわかり、富士山正面の美しいシルエットを楽しむ事ができます。
これを鳥のように上から「俯瞰」するとどうでしょう。
もはや美しい三角形は見えません。
が、富士山がどれくらいの面積を占めているのか、海からどれくらい離れているのか、いくつの市町村に隣接しているのか、という事がわかります。横から眺めている時にはわかりにくかったものが、上から「俯瞰」することで鮮明になってきます。
これは具体的な「山」を観察したものですが、これを目に見えない「ビジネスの状況」に当てはめます。
つまり、あなたの仕事を俯瞰でみるということです。
仕事には多くの人が関っています。
しかし仕事に慣れないうちは、問題が起こったときに当事者だけにフォーカスしてしまいがちです。
あなたが相対している人・物、あなたから見えている人・物だけをみているということです。
俯瞰でビジネスの状況をみると、あなたが関っている人・物・プロジェクトのさらに先の方まで、あなたのビジネスに影響を与えているものが見えてきます。
俯瞰とは、上から、その案件の全体像をみるのです。
対面の物は誰にでも見えていますが、問題解決能力が高い人は常にその事象を上から俯瞰して全体像をみています。ですから当事者でなくても、問題がどこでどのように生じているかを理解するスピードが速いのです。
☆ 仕事全体の流れを把握する
もう一つ、問題解決能力が高い人は、仕事全体の流れを把握しています。
営業マンが商品をお客様に販売するという行為は、企業活動の一部を切り取った部分的な事象です。
自分が担当する一部分だけしか見えない人は、トラブルの根本がわからない場合があります。その商品がどこからきて、納品された後どう消費されるかまで、一連の流れとして全体を理解しましょう。
例えばイタリア輸入食品の「パスタソース」を扱い、スーパーマーケットや食品店に納入する業者の一連の仕事はどんな流れでしょうか。
①イタリアのトマト農家が作物を育てる(その先にも農作のために農薬や肥料を買うという事象があります)
↓
②イタリアの製造メーカーがトマトや他の材料を買い付けてパスタソースを生産する。
↓
③仲介業者または商社がイタリアや欧州、アジアへオファーをだす(販売する)
↓
④日本業者(あなたの会社)が買い付ける
↓
⑤荷揚げ・海上輸送(欧州―日本約4週間)・通関手続き
↓
⑥入庫後の商品チェックおよび日本語ラベル貼り付け
↓
⑦営業活動・受注・商品を納品・代金請求 ←あなたの担当
↓
⑧売掛金回収
↓
⑨顧客満足度および市場調査
↓
⑩同じ商品を仕入れ続けるか、メーカーに商品改良をお願いする、別の商品を探す
おそらく新入社員は普段営業活動をするとき⑤⑥⑦くらいしか頭に入っていないのではないでしょうか。
問題解決能力が高い人は、①~⑩までの工程がおおまかに頭の中に入っています。そして、その全体の流れの中で自分が今、どの個所で仕事をしているのか意識しています。
各部署の詳細な仕事を勉強する必要はありませんが、それぞれの部署や取引先が全体の流れのどこにいるのかは理解しています。
このことによって、問題が生じている場所と解決への道筋が見えやすいのです。
☆ 具体例で説明してみると…
あなたが営業マンで、担当のお客様との間に問題が起こったとします。
何らかのミスで違う商品を納品してしまったとしましょう。
受注したパスタソース商品Aではなく商品Bを誤納(誤って納品)し、しかもそれが大口の取引だったとします。
そもそも、先日お話しした新人向け【営業の4ステップ】①仕込み、 ②営業当日、 ③クロージング、 ④フォロー、を理解し実践していればこの問題は避けられます。
クロージングの際に、商品内容のメールを送っている時点で気づきますし、請求書を確認すれば実際納品された商品もわかります。
でも、トラブルが起こってしまうこともある。
こんなとき、あなたはどうしますか?
● お客様に謝る (当たり前)
● 上司に報告する (当たり前)
● 誤発注した事務に文句を言う (自分が間違えた場合は何も言えませんが)
● すぐ商品Aを配達するよう倉庫に指示を出す
こんなところでしょうか。それで大量の商品Aがすぐ調達できて、ドライバーが他の仕事を後回しにして速攻納品してくれれば、何とか窮地は抜け出せそうですね。
でも、こんな場合はどうでしょう?
● 商品Aは現状で在庫が少ない。(Aを受注したこと自体が問題)
取引先からイタリアのメーカーに発注して納入してもらわなくてはいけない。しかも今は現地がバカンスで出荷作業が停止している。
● しかもお客様のお店はお盆も営業中で、今日も商品Aがいくつか必要な状態。
● ドライバーは午前も午後も納品予定がいっぱい。
仮に商品Aの在庫があったとしても、一度倉庫へ戻って別の場所に納品する時間がない。
普通の人は自分が相対する相手、自分から見えている相手のことから物を考えていきます。
- 自分が担当するお客様
- 自社の倉庫おおびドライバー
たいてい、自分に関わるところ、関わる相手しか見えていないのです。
富士山を横からみている状態です。
これを俯瞰(ふかん)でみてみましょう。一気に登場人物、この案件にかかわる人が増えます。
- お客様
- お客様のお客様
- 会社(営業部上司、経理担当、仕入れ担当、在庫管理責任者)
- 担当営業マン(あなた)
- 倉庫
- 配達ドライバー
- 商品仕入れ先商社・仲介者
- イタリアの製造メーカー
これらが見えてきたとき、どのように問題を解決すればよいでしょう。
色々な方法が見えてきます。
● 商品Aが自社倉庫にある場合。緊急で当日必要な分を営業マンが倉庫へ取りに行って納品する。残りは明日納品し、誤納分も引き取る。重要な顧客であれば当日緊急納品する分は値引きする。
● 商品Aが自社倉庫に十分ある場合で、配送の問題だけの場合。
新たな配送車両を外注で仕立てる。
もしくは自社ドライバー配達の小口分を営業車に積み直して営業マン(あなた)が細かい配達を引き受ける。その分空いた時間でドライバーに誤納分対応してもらう。
● 商品Aの在庫が少なく、すぐに対応できない場合。商品Bでの代替え交渉をする
(これは誰でも思いつく)。特価をだしたり、条件交渉が必要。
相手がスーパーマーケットでチラシ広告を発行済みの場合は広告費や当日の訂正お詫びPOPの費用など負担する可能性。
● 商品Aの在庫が少なく、商品Bでも受け入れてもらえない場合。
とりあえずあるだけの商品Aを確保。イタリアの仲介業者そして製造メーカーへ連絡し空輸手配。
● 商品Aより単価が高い商品Cを同額で特価納入。
もし相手がスーパーマーケットさんなら、そこに買い物に来るお客様は商品Cを割安で買えてポジティブ。会社には若干損失。
他にもいくつか解決方法がでてきます。
お客様が迷惑と被害をうけているわけです。
お客様が、誤納によってどんな問題をかかえているのか、その先にいる人はどうすれば納得するのか、そのあたりまで俯瞰します。
お客様であるスーパーマーケットさんにとっては、
チラシ広告に載せた商品がなくて買い物客に不満を与えることが 大問題なのです。
そこを解決するためにはどうすればいいか、を考えてスーパーさんに解決策をご提案する必要があります。
そして、会社が受ける被害額をどの程度までにするかも考えます。お客様の満足のために会社に過度の経費負担をさせては本末転倒。
どのあたりが落としどころか、そのお客様との取引を過去から未来まで俯瞰してみます。
そうしないと、適切な解決策は見えてきません。
☆ 経験で感触をつかむ、たくさんの違う価値観に出会うことで磨かれる
以上、ぜひ、この二つのこと「物事を俯瞰で見る」「仕事全体の流れを把握する」を常に意識して仕事をするようにしてみてください。
今回の例は単純な納品ミスを例にとりましたが、私のように貿易となると外国人との価値観の違いで無数の摩擦が生じます。
また、自分が悪くなくてもお客様側の価値感の飛躍からトラブルが生じることもあります。
このあたりは、仕事をしていく中でたくさんの違う価値観に遭遇し、経験で感触をつかんでいくしかありません。
20代は心も精神も身体もやわらかいので、新しい価値観に出会っても理解する受容性が育ちやすいのです。
(その分、洗脳されたり、パワハラ被害にあったりしやすいので、気を付けて下さい)
大丈夫です。この2つを常に意識していればいずれ、トラブルが起きても「雨がふったら傘をさす」、程度の認識になります。
「トラブルが起きたら傘をさせばいいわ」
「トラブルが起きそうだから傘をもっておでかけしよう」
「トラブルが起きそうだから、部下にも傘をもっていかせよう」
「予備で傘2本持ってようかな♪」
若いうちに、恐れず色々と体験してください。
そしてその体験さえも「俯瞰」で分析してみましょう。
あまりよく考えずにスルーしてしまうといつまでたってもそのまま成長なしですが、
起こったことを俯瞰で見る、それが全体のどこに位置しているのかを把握する、これを続けていればどんどん理解度があがります。
常にこの二つを意識しましょう。
下記の記事も参考にしてください。
「本日のポイント」
常に物事を俯瞰でみること。
仕事全体の流れを把握すること。
問題解決能力をアップするためにこの二つを常に意識しましょう。
弟妹達の仕事がとても楽しくなりますように。
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