問題解決の考え方 いつもミスする人が100%悪いのか?

キャリアデザイン

ここ数日、問題解決能力をアップするために、物事を俯瞰で見るというお話しを続けています。

今日もまた、具体例とともにこの説明を続けます。

☆ 物事を俯瞰で見る(おさらい)

☆ 河川の流れを例えに考えてみよう

☆ 問題を起こしている人が100%悪いのか?

☆ 組織の問題とあなたの問題をわけて考える

☆ あなたのアプローチ

☆ 物事を俯瞰で見る(おさらい)

ここ数日何度も同じことを説明していますが、物事を俯瞰で見るというのは、あなたが関わるビジネスや案件の全体像を見渡すということです。

例えば、日本銀行の旧館を正面からみてみると、ネオバロック建築のすばらしい外観です。ドーム丸屋根や円柱など、ヨーロッパの建造物のようで非常に美しいです。

さて、これを上から鳥瞰(俯瞰)するとどうでしょう。

有名なお話しですが、日本銀行(日本円紙幣を印刷する権限がある銀行)の屋根部分は

「  」 という模様となって浮き上がってみえてきます。

そして、この建造物がどの道路と隣接し、国会議事堂からどれくらいの距離なのかも具体的にわかります。

俯瞰でみることで、正面からみてもわからなかった情報を新たに認識することができます

ビジネスの現場でも、あなたが抱えている案件やあなたが勤務する会社に関して、

目の前にいるあなたの仕事相手だけを見るのではなく、その全体像をみるようにしましょう。

これが、俯瞰でものをみるということです。

☆ 河川の流れを例えに考えてみよう

河川を例にとって説明しましょう。

山林に降雨がたまり湧き水となって表出、小さな水流ができます。

それがだんだんと太い流れとなり、蛇行しながら河口へ、海へと高所から低所へ流れていきます。

途中大きく蛇行する箇所もあり、上流から運ばれた砂岩が滞留して州状になる箇所もあるでしょう。

急流があったり、

穏やかに流れる部分があったり、

蛇行途中で何かが引っかかって堆積している場所があったり、

人工的なダムが作られていたり、

高低差から滝ができたり…

様々な状況があります

ビジネスも同じですね。

原料調達、生産、仕入れ、管理、人事、企画、営業、納品、経理処理・・・

1本の河のように考えてみて下さい

その川を、商品が上流から下流へ、お客様のもとまで流れていきます。

急流でいつもスピードを求められる部署もあるでしょうし、

中州で枝や木がひっかかり、いつもゴミなどがたまってしまうのは、在庫管理や棚卸に似ているでしょうか。

普通に仕事をしていると、自分自身が関わっている部署と相手、せいぜいお隣の部署くらいしか仕事上の視界に入っていないものです。

ですが、ビジネス上での問題解決能力をあげるためには、このような全体像を俯瞰する習慣をつけましょう

あなたが、お隣のAさんの失敗で自分が迷惑を被っていると思っていたけれど、

俯瞰することによって、実はAさんだけのせいではなく、その先の先に問題の原因があることに気づく場合も多いのです。

また、河口まで無事流れてきた商品を、いよいよお客様に手渡すときに生じるトラブルは何でしょうか。

全体像が見えていれば、こんな風に考えることもできます。

「あと3日で到着だけど、お客様は荷物を積む船をすでに手配しているかな?」

「大口なので大型母船で来ているな。河口から母船までピストン輸送するボートをうちの会社からも1隻応援に出そう。」

あくまで河川を流れる商品というたとえ話ですので、あしからず。

ビジネスの場でも俯瞰していれば、お客様のニーズ、自社の商品在庫状況など、様々な点が見えてきて、それがあなたの部署にどのように作用しているかを想像することができるようになります。

☆ 問題を起こしている人が100%悪いのか?

さて、このようにビジネス全体を俯瞰してみると、見えていなかったものがわかってきます。

Aさんが問題やミスをおこして、あなたが迷惑を被っているという事実があるとき、それをどうとらえますか?

もちろん、Aさんがお仕事ができなくて非常に困った人材である場合もあります。

が、Aさんが100%悪いのでしょうか

上流に何か原因があり、それがAさんの所で滞留している場合があるかもしれません。

Aさんのキャパシティーで、1つの問題なら無理なく処理できるのに、

小さなちょっとしたことがいつもAさんの所に同時に複数流れ着いて、どうしてもミスや問題に転じてしまう場合も考えられます。

Aさんが仕事の流れを理解しておらず、おそろしく非効率的なやり方で仕事をしている場合もあります。

①②③④⑤の順番で仕事をすべきところを、Aさんが苦手or怖がっている人に「③はできた?」と頻繁に聞かれるので、①②をすっとばして③から始めているとか?

論理的に仕事をせず、感情で常に動く人はこういった行動をとる場合があります。

このように、あなたが「問題を起こしている」と認識していた人のまわりと全体を俯瞰してみて下さい。あたらしい事実が表出します。

問題解決能力が高い人は、常にこのように状況を俯瞰しています。

☆ 組織の問題とあなたの問題をわけて考える

問題が見えてきたら、それを解決する方法を模索しなくてはいけません。

ここで一つ注意すべき点は、あなたがどこまで解決するか、ということです。

俯瞰で見ると、問題が会社全体に思いがけず大きく広がっている場合があります。

自分が直面した問題を片づけることが目的ではありますが、選択肢が2つあります。

1)自分と当事者、その関係者など範囲が狭く、自分たちで解決できる場合は、

ぜひあなたが働きかけをしてください。

2)問題が大きく広がっている場合、一定の人に「指導」が必要な場合は、

かならず上司か責任者に相談しましょう。

雇われている立場では、組織全体の微妙な力関係や、経営側の意図が見えていないことがあります。

社員として対等の立場のものが、一方を指導するというのはよくありません。

実際の職場の規模、雰囲気、関係性にもよりますので一概には言えませんが、

その会社であなたはどのような立場か、役職か、責任を任されているのか・いないのか、明確に認識してから行動しましょう。

☆ あなたのアプローチ

さて、河川を例に俯瞰を説明してきました。

問題が起こって困った時、

相対するAさんに対して怒り、文句をいい、上司に「Aさんがこの問題起こしてます。困りますから注意して下さい」と伝えますか?

俯瞰できていれいば、

Aさんの問題の発生源がおぼろげでもわかってきます。

上司に「Aさんが毎回同じミスを起こして、いつもこの案件が遅れるんです。

たぶん、○○のシステムに問題があるみたいです。

関連する部署Xとのやり取りを少し調べてもらえないでしょうか。」

いかがでしょう。

上司のうける印象はどうでしょうか。

前者は、感情論で不快な事を愚痴られ、上司はあなたを「まぁまぁ、面倒見てやってよ」となだめる程度かもしれません。

後者では、具体的な原因が指摘されており、上司としては部署の仕事効率を上げるためにも、ぜひ対応しようと思うのではないでしょうか。

人を変えることはできませんが、

その人を納得させることができれば、人を動かすことはできます

ぜひ、物事を俯瞰で見る習慣をつけてください。

「本日のポイント」

物事を俯瞰でみることで、問題が生じている場所が見えてくる。

ミスする人が100%悪いのではなく、その先に問題が複数隠れている場合がある。

問題解決にあたって、自分の立場と責任範囲を認識しておく。

弟妹達の仕事が少しでも楽しくなりますように。

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